44 森町の民家
民家では亀久保の友田義範家住宅が国の文化財に、そのすぐ北西に建つ隠居家の友田義一家住宅が県の文化財に指定されている。他にも古い民家は多く残されているが、亀久保の友田貞一家住宅は住居棟と炊事棟の2棟に分かれており、現在ではほとんど姿を消してしまった「かまや建」の形式を保つ貴重な存在である。
森や城下の町並みに軒を連ねる町屋も、近年では少なくなった。城下の藤江家住宅や森の大石家住宅は、江戸時代後期に建てられた遺構として旧状をよく残しており、今後も保存したい町屋である。単体の建築だけでなく町並み全体としても保全を計るべきで、城下の町並みは比較的早い時期の昭和49年に町の指定になっている。
旧周智郡役所(現町立歴史民俗資料館)と旧城下学校の2棟は、いずれも明治10年代に建てられた近代建築として、町の文化財に指定されている。明治維新による近代化の波を受けて、それまでわが国には見られなかった新種の建物が各地で次々と造られた。それらの建物の外観や室内の意匠は洋風でまとめられることが多いが、細部には在来の伝統的な技術が用いられており、当時の工匠(こうしょう)達の創意工夫が偲ばれる。町内に残されたこれらの近代化遺産についても、早急に保存計画を実現すべきであろう。
また、町内を通る秋葉道の傍らに建つ多くの常夜燈が、町の文化財に指定されているのも、森町ならではの特徴といえるだろう。
(1)友田義範家住宅

1700年(元禄13年)に南隣地から現在地に移ったという。 県下の現存住宅では最も古い部類に属する。 昭和58年1月より15ヶ月をかけ半解体修理がおこなわれ、平成8年度には茅の葺き替えがなされた。
(森町亀久保 個人写真提供)
(2)友田義範家内部

16畳の広間は、村落の議場であった。 赤松の豪壮な梁は見ごたえがあり、風格の高いものである。
(3)友田義一家 (隠居屋) 住宅

当家は友田義範家の隠居屋で、後世の改修は著しいが元禄期の部材を残すものである。
(森町亀久保)
(4)友田貞一家住宅

住居棟と炊事棟の2棟からなる「かまや建」で友田義範家や同義一家に次ぐ古いものである。
(森町亀久保 川島)
(5)大石尚男家住宅

江戸後期、古着・茶・椎茸・炭などを扱う商家で、城下の藤江家と並ぶ町屋である。
(森町森 本町)
(6)大石家間取図

1779年(寛政11年)に建てられた住宅を1859年(安政6年)に図面に写し、建物の方位を割り出して吉凶を占うものである。
(個人所蔵)
(7)藤江みち子家住宅

1863年(文久3年)に再建されたもので、大正年間に修理や改造が行われている。
(森町城下)
(8)藤江みち子家内部

「みせ」と呼ばれる部分で、内と外を隔てる「しとみ戸」は当時のままである。
(森町城下)
(9)山本須美夫家住宅

当家の座敷は、明治期に増築されたものであるが、豪農(ごうのう)の風格を充分感じさせるものである。
(森町一宮 米倉)
(10)富田茂雄家住宅

同家は山間の乙丸にあり、写真のように夏場は畳を上げて板敷で生活する。 正月の年とりには、家内中がこの部屋のイロリの回りに集まって、鮭を焼いて食べたという。
(森町三倉 乙丸
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更新日:2019年03月05日