48 森町の絵画

更新日:2019年03月05日

森町には社寺ならびに個人などにそれぞれ特色ある絵画が伝えられている。
蓮華寺は、天台宗寺院であるが宗派と係わりのある 祖師像 ( そしぞう ) が2点伝わっている。「天台大師像」は正面向きの黙想する天台大師を描いたもので、鎌倉後期の作と推定される。同寺に伝わる「 元三大師 ( がんさんだいし ) 画像」は、平安中期の高僧元三大師を描いたもので江戸時代の作である。「 釈迦十六善神画像 ( しゃかじゅうろくぜんじんがぞう ) 」(蓮増院)は釈迦如来と十六善神を描いたもので宝永7年の記録があり、その頃の制作と考えられ、その後村松 以弘 ( いこう ) の 倅 ( せがれ ) の修理が加えられた。そのほか、仏画関係としては釈迦が 涅槃 ( ねはん ) に入る情景を描いた「仏浬槃図」(香勝寺)がある。これには制作年、筆者、寄進者などの氏名を記した勧化の墨書もあり貴重である。
神社に関連した絵画遺品としては「天神像」(個人蔵)が挙げられる。

菅原道真は広く信仰を集めたが、この像は衣冠(いかん)束帯(そくたい)姿の天神を描いたもので、画上には白梅と松が描かれ龍渕以心叟の賛もある。江戸初期に遡(さかのぼ)る貴重な肖像画である。また、神社には三十六歌仙の懸額が多く見られるが、森町にも天宮神社、小國神社などに伝わり、なかでも天宮神社のものは現在34面伝存し、2面亡失しているが江戸時代の貴重なものである。
「東照神君像」(蓮増院)は、山水を描いた屏風を背景に坐する東照神君を描いたもので描表装にするなどの手の込んだ作品である。江戸上野の寛永寺大僧正が添えた嘉永元年の寄進状も残されている。
個人のお宅には江戸時代の郷土画人である村松以弘、福田半香(ふくだはんこう)の襖絵や掛軸が伝わり江戸後期の趣味人の文雅の一端を知ることができ興味深い。

(1) 天台大師画像( てんだいだいしがぞう )

天台大師画像

1幅、県指定、縦89.2×横49.4センチメートル、絹本着色、軸装。 中国・天台第三祖である智?(そうにょうに干す)(538~597)を描いた祖師像。 目の粗い絹地に着色し剥落もあるが貴重な作品。
(森町森 蓮華寺所蔵)

(2) 元三慈恵大師像 ( がんさんじけいだいしぞう )

2人の童児を従えた 元三大師の写真

1幅、町指定、縦11.0×横59.0センチメートル、江戸時代、絹本着色、軸装。 手前に2人の童児を従えた元三大師を描く。 画上には六区に分けた色紙形に大師をたたえる墨書を付し、御簾には右に日、左に月を描く。
(森町森 蓮華寺所蔵)

(3)東照神君像

1幅、未指定、縦142.0×横51.0センチメートル、江戸時代、紙本着色、軸装。 上部には御簾がかかり背後には水墨で山水が描かれた屏風を配している。 右手には笏(しゃく)を持つ東照神君は通例の家康像である。 表具は描表装となり見事である。
(森町一宮 蓮増院所蔵)

(4)釈迦十六善神画像

1幅、未指定、縦94.0×横49.5センチメートル、江戸時代、絹本着色、軸装。 釈迦を中央に十六善神を左右に描き分けている。 「宝永七年三月一日第五世忠順法印大和尚」の箱書きがある。
(蓮増院所蔵)

(5)天神像

衣冠束帯を着た天神像の写真

1幅、未指定、縦87.0×横50.0センチメートル、江戸初期、紙本着色、軸装。 衣冠束帯の天神を描いたもの。 ひげをはやした顔には威厳があり着衣には陰影をつけている。
(個人所蔵)

(6)天女像

絵師杢之丞によって描かれた天女像の写真

1672(寛文12)年の造営時に絵師杢之丞(もくのじょう)によって三嶋神社本殿に描かれたもの。
(森町森 三嶋神社)

(7)三十六歌仙扁額

畳上に坐す2人の歌仙の写真

34面、町指定、縦67.1×横54.1センチメートル、江戸時代、板絵着色、額装二枚を一組として額装されている。 いずれも畳上に坐す歌仙を描き、画上にはほぼ正方形の色紙形を配し和歌を墨書する。
(森町天宮 天宮神社)

(8) 涅槃像 ( ねはんぞう )

涅槃像の写真

1幅、未指定、1745(延享2)年2月に、草ヶ谷・鴨岡・戸綿・福田地・上川原の人たちの勧化によって寄進されたものである。
(森町草ヶ谷 香勝寺所蔵)

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