48 森町の絵画
森町には社寺ならびに個人などにそれぞれ特色ある絵画が伝えられている。
蓮華寺は、天台宗寺院であるが宗派と係わりのある 祖師像 ( そしぞう ) が2点伝わっている。「天台大師像」は正面向きの黙想する天台大師を描いたもので、鎌倉後期の作と推定される。同寺に伝わる「 元三大師 ( がんさんだいし ) 画像」は、平安中期の高僧元三大師を描いたもので江戸時代の作である。「 釈迦十六善神画像 ( しゃかじゅうろくぜんじんがぞう ) 」(蓮増院)は釈迦如来と十六善神を描いたもので宝永7年の記録があり、その頃の制作と考えられ、その後村松 以弘 ( いこう ) の 倅 ( せがれ ) の修理が加えられた。そのほか、仏画関係としては釈迦が 涅槃 ( ねはん ) に入る情景を描いた「仏浬槃図」(香勝寺)がある。これには制作年、筆者、寄進者などの氏名を記した勧化の墨書もあり貴重である。
神社に関連した絵画遺品としては「天神像」(個人蔵)が挙げられる。
菅原道真は広く信仰を集めたが、この像は衣冠(いかん)束帯(そくたい)姿の天神を描いたもので、画上には白梅と松が描かれ龍渕以心叟の賛もある。江戸初期に遡(さかのぼ)る貴重な肖像画である。また、神社には三十六歌仙の懸額が多く見られるが、森町にも天宮神社、小國神社などに伝わり、なかでも天宮神社のものは現在34面伝存し、2面亡失しているが江戸時代の貴重なものである。
「東照神君像」(蓮増院)は、山水を描いた屏風を背景に坐する東照神君を描いたもので描表装にするなどの手の込んだ作品である。江戸上野の寛永寺大僧正が添えた嘉永元年の寄進状も残されている。
個人のお宅には江戸時代の郷土画人である村松以弘、福田半香(ふくだはんこう)の襖絵や掛軸が伝わり江戸後期の趣味人の文雅の一端を知ることができ興味深い。
(1) 天台大師画像( てんだいだいしがぞう )
(2) 元三慈恵大師像 ( がんさんじけいだいしぞう )
(3)東照神君像
1幅、未指定、縦142.0×横51.0センチメートル、江戸時代、紙本着色、軸装。 上部には御簾がかかり背後には水墨で山水が描かれた屏風を配している。 右手には笏(しゃく)を持つ東照神君は通例の家康像である。 表具は描表装となり見事である。
(森町一宮 蓮増院所蔵)
(4)釈迦十六善神画像
1幅、未指定、縦94.0×横49.5センチメートル、江戸時代、絹本着色、軸装。 釈迦を中央に十六善神を左右に描き分けている。 「宝永七年三月一日第五世忠順法印大和尚」の箱書きがある。
(蓮増院所蔵)
(5)天神像
(6)天女像
(7)三十六歌仙扁額
(8) 涅槃像 ( ねはんぞう )
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更新日:2019年03月05日