3 森町の植物

更新日:2019年03月05日

森町の総面積の72%を森林が占めるが、そのうち82%がスギ・ヒノキの植林、残りは森林の伐採後に生じた自然の林(二次林)が大半を占める。自然林の構成樹種は標高によって異なってくるが、通常600メートル以下ではシイやアラカシなどを主体とした常緑広葉樹林(照葉樹林(しょうようじゅりん))で、それ以上になるとコナラ、クリ、イヌシデなどを主体とした落葉広葉樹林になる。標高900メートルを越える春埜山付近の尾根沿いには、わずかにブナが出現している。
スギ・ヒノキの人工林や常緑広葉樹林は暗く、林内に生育している植物の種類は少ないが、落葉広葉樹林では多様な植物が見られ、これが生息できる動物の多様性にもつながっている。最近見直されている里山は本来、人に管理されてきた明るい生物豊かな林である。

獅子ヶ鼻公園の乾燥した岩場にはマツバラン、ムカデランなど珍しい着生(ちゃくせい)植物が見られるが、太田川の本・支流にある渓谷は空中湿度が高く、岸壁にアオネカズラ、ベニシュスランなどが生育している。いっぽう、葛布の滝はシダ類の宝庫としても知られている。
陣屋峠周辺に見られる赤茶けたやせ地は樹木の侵入を 阻 ( はば ) み、日当たりの良い草地を好むキキョウ、シランが多い。付近の生育が悪いヒサカキやソヨゴなどの樹木にはヒノキバヤドリギの寄生が見られる。
周辺の湿地にはウメバチソウ・ヤマラッキョウなど乱獲に直面している湿地植物のほか、ゴマクサやイヌセンブリなどレッドデータブックにあげられている植物も見られる。

(1)コナラ(ブナ科)の萌芽

【写真】コナラの木

若い葉の表面には絹毛が多く、展開してもしばらくは白っぽく見える。
下垂しているのは雄花序(かじょ)である。
(森町三倉 大河内)

(2)コナラを中心にした落葉広葉樹林の紅葉

【写真】コナラを中心にした落葉広葉樹林の紅葉

春の芽吹きも美しいが、黄~茶色系の紅葉もなかなか素晴ら
しいものである。
(森町三倉 大河内)

(3)ササユリ(ユリ科)の花

【写真】薄黄色いササユリの花

草原や林縁、明るい林下等に生育する。清楚な花は切り花に人気が高く、山取りされることも多い。
乱獲により急減している。
(森町葛布)

(4)マツバラン(マツバラン科)

【写真】岸壁から生えるマツバラン

岸壁や大木に生える原始的なシダ植物。
古典園芸植物として知られている。
(森町一宮)

(5)シタキソウ(ガガイモ科)

【写真】樹木に巻き付いたシタキソウ

常緑性のつるの植物で林縁の樹木に巻き付き、6月頃に芳香のある白い花を開く。
(森町一宮)

(6)ウツボグサ(シソ科)

【写真】群生するウツボグサ

道端のように時々草刈りされる草原に多い。
紫色の花は美しく、花後の花穂(かすい)は漢方の夏枯草。
(森町一宮)

(7)シラン(ラン科)

【写真】水辺に生えるシラン

陣屋峠周辺の日当たりの多いやせ地に多い野生ラン。
濃いピンクの花をつけるが、まれに白花もある。
(森町一宮)

(8)カキラン(ラン科)

【写真】カキラン

湿地に生える野生ランで、ササに似た葉が茎を巻いてつく。
カキランの名は柿色の花弁からくる。採取により近年減少した。
(森町草ヶ谷)

(9)ハンゲショウ(ドクダミ科)

【写真】白い葉のついたハンゲショウ

水際に生える多年草で1メートル位になる。
上部の葉は白くなり、葉の付け根に花弁のない小さな花を穂状につける。 
(森町鍛冶島 門田)

(10)イヌセンブリ(リンドウ科)

【写真】草原にポツンと咲いたイヌセンブリ

センブリに似ているが苦くない。
湿地付近の草原に点々と見られる。
(森町一宮)

(13)日本庭園のような吉川の岸辺

【写真】日本庭園のような吉川の岸辺

上流に行くほど岩場が多くなり、ゼンマイより葉の細いヤシャゼンマイが根元を覆(おお)い美しい
(森町亀久保)

(11)ヤマルリソウ(ムラサキ科)

【写真】青紫色の美しい花を咲かせたヤマルリソウ

少し湿った林縁を好む。花茎が根出葉の中から立ち上がり、青紫色の美しい花を咲かせる。
(森町一宮 伏間)

(12)シライトソウ(ユリ科)

【写真】白い小花を穂状に咲かせたシライトソウ

やや薄暗い林内に多いが、町内の分布も局地的。初夏、根出葉からスラリと茎が伸び、先端に白い小花を穂状(すいじょう)につける。
(森町飯田)

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