47 森町の彫刻

更新日:2019年03月05日

静岡県下に伝来する古い仏像は、県史・市町村史編さん事業における調査により最近多くが発見された。建造物のように目に付きやすい文化財とは異なり、仏像は寺院の奥深く大事に保存されてきたためその全貌がまだ掴(つか)み切れないのが実状である。
森町域の仏像にしてもこれまで鎌倉から平安時代に 遡 ( さかのぼ ) る作品はほとんど知られなかったが、今回いくつかの貴重な仏像が発見された。県西部、とりわけ三ヶ日町や引佐町には以前から古い仏像の存在が知られ、国や県の指定を受けているものも多い。森町域は、かつて真言・天台系の密教寺院が多く、そのことが多くの仏像の伝わった理由であり、密教寺院の分布が豊岡村や北遠一帯にも及んでいる。

蔵泉寺には平安時代後期の木造阿弥陀如来坐像と、それよりやや古い木造不動明王立像、木造毘沙門天立像が伝来している。また、米倉極楽寺の木造阿弥陀如来坐像も整った像容(ぞうよう)を示しており本格的な貴重な仏像である。
遍照寺の銅造大日如来坐像は、総高5メートルにも及ぶ巨大な仏像である。法界定印を結ぶ胎蔵界大日如来像で、 蓮弁 ( れんべん ) ・ 反花 ( かえりばな ) ・ 框 ( かまち ) からなる台座に座している。蓮弁には正面から右回りにぐるりと 願主 ( がんしゅ ) 、 鋳物師 ( いもじ ) 、施主などがびっしりと刻まれている。1718年(享保3年)の作である。
江戸時代後期の遊行僧・木喰(もくじき)上人(しょうにん)の遺作も森町には比較的多く残されている。蓮華寺の子安地蔵は木喰上人特有の笑みを浮かべている。

(1) 木造阿弥陀如来坐像(もくぞうあみだにょらいざぞう)

木造阿弥陀如来坐像の写真

1躯、未指定、像高 85.0センチメートル、平安後期、木造漆箔、定印を結び、結跏趺坐(けつかふざ)する通例の阿弥陀如来像である。 穏やかな顔立ちをし等身の堂々とした身体をしている。
(森町一宮 米倉 極楽寺所蔵)

(2)木造阿弥陀如来坐像

木造阿弥陀如来坐像の写真

1躯、未指定、像高 81.7センチメートル、平安後期、木造漆箔、定印を結ぶ通例の阿弥陀如来像である。各部分は傷んでいるが、頭体のバランスがとても良い。 
(森町三倉 田能 蔵泉寺所蔵)

(3)木造子安地蔵

木造子安地蔵の写真

1躯、町指定、像高 132.1センチメートル、江戸時代、木造漆箔、 木喰行道作。 木喰上人は1800年(寛政12年)の5月~6月にかけてこのほか3体の仏像を彫った。 
(森町森 蓮華寺所蔵)

(4) 木造左大臣右大臣像 ( もくぞうさだいじんうだいじんぞう )

木造左大臣像の写真
木造右大臣像の写真

2躯、町指定、像高(左大臣)132.0センチメートル、(右大臣)131.0センチメートル、江戸時代、木造彩色。 
一対の神像で、明治15年に焼失した楼門に安置されていた。 後補(こうほ)ではあるが全体に美しい彩色が施されている。 (森町一宮 小國神社所蔵)

(5)木造唐獅子像

右を向いた木造唐獅子像
左を向いた木造唐獅子像

1対、町指定、像高(阿形)50.7センチメートル、(吽(うん)形)51.8センチメートル、江戸時代、木造彩色、寄木造。 頭を高く立て、蹲居(そんきょ)する一対の唐獅子である。 筋肉のつきかたも堂々としており全体のバランスもよい。 
(森町天宮 天宮神社所蔵)

(6)毘沙門天像

毘沙門天像の写真

1躯、未指定、平安時代。
(森町三倉 田能 蔵泉寺所蔵)

(7) 聖観音菩薩 ( しょうかんのんぼさつ ) 立像墨書銘

聖観音菩薩 ( しょうかんのんぼさつ )の写真

南都椿井次郎の作で、淡山(たんざん)神社平等院峯堂(みねどう)にあったものである。 
(森町飯田 金毘羅山所蔵)

(8)不動明王及び小國鹿苑菩薩 ( おくにろくおんぼさつ )

不動明王と小國鹿苑菩薩の写真

一宮に祀られてきた仏像で、不動明王は南北朝木、小國鹿苑菩薩は桃山期の作。町指定。
(森町一宮 蓮増院所蔵)

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