移住定住レポート(プラナスさん一家)
2014年移住 プラナスさん一家
少しずつ家族みんなで古民家を改装中
夫・フランセスクプラナスさん、スペインのバルセロナ出身。ジュエリー作家。
妻・美智子さん、静岡県駿東郡長泉町出身。現在は袋井市にある国際交流協会に勤務。
あいら君(小学4年生)
移住の経緯
スペイン→静岡県袋井市→森町三倉地区大久保へ
美智子さんが陶芸を学ぶため渡ったスペインでフランセスクさんと出会い、2000年に結婚。あいら君の誕生後、2009年家族で日本へ。袋井の美智子さんの実家に住みながら家探しを始める。大久保の景色と知人に紹介された古民家を一目で気に入り、2014年森町に移住。
パノラマ風景に感動し、自動車免許を取得!
陶芸を学ぶ目的でスペインに渡った妻の美智子さんは、「1年で帰ってくるつもりが12年も住んでしまいました」と話します。そこで出会ったご主人のフランセスクさんは、14歳で師匠に弟子入りして腕を磨いたジュエリー作家。「小さい頃から兄と遊んだ日本製のフィギュアや黒澤作品など、日本の文化に興味を持っていました。妻も日本人ですしね」と、日本の話になると熱くなり、止まりません。東京にも住んだけれど、自分の価値観と照らし合わせると日本の風土にあった営みのある森町のここが自分に合っていると、感じたそう。
「街はたまに行って新しい文化を吸収するところ」と考えるフランセスクさんは、初め訪れた森町で、見晴らし良く、眼下に広がる三倉・大久保の風景に魅了されてしまいました。地元の木材を使い伝統的技術で丁寧に作られた古民家も気に入ったのでした。「空、雲、星、茶畑、すべてがきれい。住むならこういうところがいい。心も体も健康になります」。ところが、スペインでは自転車に乗っていたフランセスクさんは、それまで自動車の運転免許を持っていませんでした。山の上にあるこの家に住むなら運転免許は必須。そこでフランセスクさんは生まれて初の運転免許をポルトガル語で取りました。
出勤する美智子さんに夕食を作るフランセスクさん
プラナス家の起床は6時前。「和食の時もあればスペイン風の時もあります」という朝食を済ませ、美智子さんは車で7時20分過ぎに家を出て、あいら君をバス停まで送り、そのまま袋井の職場へと向かいます。
フランセスクさんは日中、ジュエリー製作や草刈り、近所の人の手伝い、家の改修作業を行い、夕方はあいら君のお迎え、夕ご飯の支度もフランセスクさんの役割です。「遠く離れた母国の食文化を息子に伝えたいとカタルーニャの郷土料理を愛情込めて作ってくれます」と、笑顔で話す美智子さん。
あいら君はお父さんとスペイン語で、お母さんとは日本語で会話しています。見ていると、父子の距離もぐっと近い感じ。フランセスクさんがジュエリー製作する様子を見る表情も真剣です。「仕事しているパパはかっこいいと思う。僕も何か作りたいな」とあいら君。お母さんのことは「ママは働き者で、すごいと思う」と照れながら話してくれました。
銀や金で指輪やペンダントなどのジュエリーを一つひとつ仕上げていく
指輪
プラナス一家は全員がアーティスト
近所の人に教わり地域に溶け込んでいく
「植物のこと、鳥や虫、動物のこと、畑の作物のこと、祭りや伝統、しきたり、文化のこと、みんな近所の人たちが教えてくれます。時々一緒にお茶することもあります。大自然に囲まれながら、家々がほどよい距離感で点在しているので安心できます」と、プラナス夫妻。あいら君も可愛がってもらっていて、回覧板を届けるなどお使いに行った際、手作りこんにゃくやアイスをいただくそう。
「少し町から離れるだけで、質の良い生活環境が手に入るのですから最高の贅沢です。しかも息子の通う三倉小学校は小規模で皆の顔の見える関係。三倉の自然を生かした課外活動がたくさんあり、地域の人たちとの関わりも強い貴重な教育環境での子育てにも満足しています。スペインだったら多くの親が望むでしょう自然の移り変わりを日々肌で感じる
生活、自然界と私達の営みとの関わり、今後、あいらにきっとプラスになるはず。バルセロナという世界都市と対極にある日本の田舎暮らしの経験が、あいらの人生観を築くエッセンスのひとつになればと願っています」と、プラナス夫妻。
更新日:2019年03月01日