移住定住レポート(坂本さん)

更新日:2019年03月05日

2017年移住 坂本さん

坂本さん

坂本綾子さん。愛知県刈谷市出身。介護の専門学校卒業後、介護士として勤務。結婚を機に退職。わな猟免許、網猟の免許を保有し、趣味と実益を兼ねながら、狩猟とグラフィックデザインを行っている。

移住の経緯
欧風住宅

お気に入りの欧風住宅

愛知県刈谷市→静岡県掛川市→森町天方地区西俣へ

熊本県出身のご主人と結婚。当初は静岡県掛川市周辺で古民家を探していたがなかなか見つからず、森町に住む狩猟仲間の紹介で見に行った一軒家に一目惚れ。120坪の土地にガレージ付きの中古輸入住宅を購入。20176月に移住し憧れの生活をスタートした。

小さい頃から自然が好きだった狩猟ガール

坂本綾子さんが生まれ育ったのは愛知県刈谷市。「工場地帯で、目の前を車がバンバン通る環境でした。堤防はあったけど、森はありませんでしたね」。小さい頃から鳥や動物が大好きで、よく山へ出掛けて遊んでいたといいます。もともと自分で捕ったものを食べることに興味があった綾子さんは、魚釣りから始まり、「肉も自分で捕って調理し、食べたい!」と思うようになり、わな猟と網猟の免許を取りました。

ご主人の仕事の関係で掛川市に住むことになりましたが、実は静岡県内の狩猟免許試験場で偶然にも森町の同年代の女性と出会い、狩猟を通じて交友が始まっていました。

「イノシシの解体場ヘー緒に行き、尊い命を無駄なく頂くということを経験し、より狩猟への興味が高まりました」と綾子さん。森町に住む前から、すでにこの地との縁が結ばれていたようです。

理想の住まいと出合い、森町へ移住を決心

デザインの仕事

ステッカーやアイコンなど、デザインの仕事も手掛ける

結婚を機に掛川市のアパート暮らしを始めた綾子さんは、古民家を探し始めます。ところが、なかなか掛川市周辺では見つかりません。「ずっと森の中に住みたいと憧れていたんです。だから、掛川市に来て〈森町方面〉と書かれた青い案内標識を見たときは、この先に森があるんだ!と感激しました」。そして、県内の試験場で出会った森町の狩猟仲間が探してくれた情報と、紹介された物件が一致。古民家ではなく中古の欧風住宅でしたが、利便性と里山の良さを兼ね備えた、綾子さんにとって、まさに理想の住まいでした。

「家に一目惚れしちゃったんです。自然が近く、すぐに狩猟ができるし、静かな環境でデザインの仕事もできます。高速道路のインターに近いし、川があるから釣りもできるし。掛川市の主人の勤務先にも車で30分~40分で行けますから。偶然が重なり、憧れの〈森〉の町だし、もうこれは運命に違いない」。そう考えた綾子さんは、「家賃分でローンが払えるし、いざとなったら私が何とかするので、今はお願いします!」とご主人を説得し、森町へ移住したのでした。

夫の出勤後、わなの見回り。夢はジビエ料理研究とデザイン

朝7時20分。夫にお弁当を持たせて見送り、朝ご飯を食べて一息つくと、仕掛けたわなの見回りへと出掛けます。箱わなを仕掛けている場所までは、1か所が車で3分、もう1か所が1、2分という近さ。「ここは、動物たちが行き交うメインストリートなんですよ」と、山を背景に畑を見下ろす場所にある檻(オリ)の前で、綾子さんが説明してくれました。

たとえ捕獲されていなくても、「撒いたエサの状態を見て、どのくらいの大きさのどんな動物がどうやってエサを食べてどこからどこへ向かったのかを判断します」。動物がわなに入ると、猟友会の仲間に連絡し、その日か翌日に解体するそうです。

イノシシやシカによって畑が荒らされるなど里山の被害は年々増えているため、冬場の猟期以外も有害鳥獣駆除の目的で狩猟は行われています。綾子さんは「一つの命をいかに無駄なく、使い切るかが私のテーマ」と言います。一般家庭でも美味しく食べられるジビエの調理法を研究中。また、有害鳥獣の利活用に取り組む有志のグループ「狩花(カリフラワー)」の一員としても活動しています。

昼はデザインの仕事をしている綾子さん。SNSなどのアイコンやステッカーを作ったり、「狩花」のTシャツをデザインしたり、親しい人からの依頼を受けています。「ガレージをリフォームして工房を作り、もっとデザインの仕事を広げていきたいですね」と、森町をフィールドとした綾子さんのライフワークは続きます。

わな

エサの減り具合や仕掛けをチェック

イノシシ

捕獲したイノシシ

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